3. 自然界でのウナギ生殖実態の解明



3−1 産卵海域調査(駿河丸Expedition-3)
 
 大概の魚では、どのようにして親魚が成熟し、産卵が行われ、孵化仔魚はどのように育つのかということが自然界からの情報として、沢山あります。ウナギではそれがまったくと言ってよいほどありません。これがウナギの子ども作りの研究を行う上での大問題です。
 
 親魚はホルモン注射で成熟させますが、それが自然での成熟とどうちがうのか、その悪影響はないのか、またその結果として孵化した仔魚は自然のものと違うのか、違わないのか、私たちが孵化させた仔魚は仲々エサを食べてくれないが、自然でのエサは何か、どのように食べているのかなどなど、ウナギの子どもつくりにとっての虎の巻であるはずの情報がほとんどないのです。これらがあれば、仕事はもっと上手くいくのではないかと考えていました。
 
 そこで、それらの情報を入手するために、いろいろな経緯を経て、
東京大学海洋研究所の塚本勝巳教授(ウナギの産卵場がマリアナ海域にあるという仮説の提唱者)、静岡県水産試験場および当研究所が共同でマリアナ海域への調査航海を平成9年度から3ヵ年事業で行っています。
  
 昨年は最終回、3年目でした。静岡県焼津港を出港した130トンの駿河丸(静岡県水産試験場の調査船)がグァム島で燃料などを補給し、これから調査に出発という時に、埠頭に停泊中の駿河丸に6,000トンの貨物船が衝突しました(現地の新聞は、巨象が子猫を踏んづけたように、と表現)。沈没は免れましたが、自力航行不能となり、調査は中止を余儀なくされました(今年の夏に再調査を行う)。

 いままでの調査ではレプトケファルスを10数尾採集しているなど、興味ある成果を挙げています。

図1 静岡県水産試験場の駿河丸(130t)

図2 IKMTネットによるウナギレプトセファルスの夜間採集(1998年)
図3 船内でのソーティング作業



3−2 天然稚仔魚の消化管内容の観察
 
 一昨年は、その夏の調査航海(駿河丸Expedition−2)で採集したレプトケファルス(全長が約4cm前後)の腸管を切開して、走査型電子顕微鏡でその中を観察したところ、ヤムシ(プランクトンの一種)の頭部が見つかりました。つまり、ウナギのレプトケファルスはヤムシを食べているということが分かりました。この結果から、当研究所は上記の孵化仔魚飼育実験で、初期餌料としてアクアランにワムシのジュースを混ぜて仔魚に与えました(その結果、仔魚は22日間生存したのです)。

 昨年もひき続き、この仕事をする予定でした。しかし、上記のように調査が中止となったので、新しい試料が手に入らなくりました。そのため、一昨年の試料をもう一度くわしく観察しました。観察した14尾のうち13尾の腸管の中に内容物が認められましたが、それが何であるかは分かりませんでした(ウンコの元が何であったか判定しようというのですからなかなか難問題です)。

 今後は別の方法も用いて探究しようと考えています。

 図4 天然のニホンウナギレプトセファルス
 図5 マリアナ海域で混獲されたヤムシの頭部拡大写真



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